2018.06.05(2019.07.08 更新)
辺野古・大浦湾シンポジウムを開催
イベント報告
専門度:
▲パネルディスカッション
テーマ:生息環境保全海の保全自然資源
フィールド:海
失われる自然の大きさが県内でも知られていない
3月24日に「沖縄の財産・世界の宝~辺野古・大浦湾シンポジウム」を、沖縄県主催、NACS-J企画・共催で、国立劇場おきなわで開催しました。
今回のシンポジウムは、工事によって失われる自然の大きさが県内でも十分に知られていないというNACS-Jの提案で実現しました。翁長知事の「埋め立て工事は、人類共通の財産を地球上から消失させることになる」とのあいさつから始まりました。基調講演で、IUCN(国際自然保護連合)の海洋担当の専門家であるフランソワ・シマール氏が、海の自然保護は世界的な課題で、海の10%を海洋保護区にする取り組みが国際的に進んでいること、上手に利用しながら保護することで持続可能性を高め、暮らしが豊かになることなどが紹介されました。辺野古・大浦湾は「美しいだけでなく、健全で多様なサンゴが見られる素晴らしい場所」として、自然だけでなく幅広い環境影響評価を行うこと、事業者自らが評価するだけでなく、客観的な評価が重要と指摘されました。
NACS-J安部はじめ国内の登壇者からは、辺野古・大浦湾の自然の概要や、甲殻類やジュゴンの調査結果、サンゴ礁と密接な沖縄の人の暮らしなどを紹介。参加者アンケートでは「多様とは聞いていたが、具体的に説明を受け、イメージが広がった」「埋め立てられてしまう、基地がつくられようとしている所、くらいの認識でした。それ以前に、豊かな海域であることが分かりました」といった声をいただきました。
▲写真左:県知事とシマール氏の面談。シンポジウムは沖縄県主催で開催された。写真右:グラスボートで現地視察をするシマール氏(右)と案内する東恩納琢磨氏(左)。
工事を中止し、改めて評価を行うよう求める声明を採択
最後に「辺野古・大浦湾の貴重な自然を守るための声明」を拍手で採択。声明では、このまま埋め立てが進むならば、サンゴ礁生態系の豊かさとその価値が、世界の多くの人々に知られないまま永久に失われてしまう可能性があるとして、「1.現在行われている辺野古新基地建設計画に伴う工事を直ちに中止し、辺野古・大浦湾の生態系及び生態系サービスへの影響を正確に理解するために、徹底的な調査を行い、改めて評価すること。2.貴重な辺野古・大浦湾の自然環境を守るために、辺野古新基地建設計画を断念すること」を日米両政府に求めました。沖縄県知事公室長から声明の実現に取り組んでいくとの言葉があった後、NACS-J亀山理事長のあいさつで閉会しました。
保護室 安部真理子
会場に入りきれずロビーで中継をご覧くださった方も含め250名以上の熱気あふれる催しとなりました。