2018.06.04(2018.06.04 更新)
奇跡の森「猪八重の自然林」を保護林に
報告
専門度:
▲原生的で発達したシイ林には特殊な生活をする生物が多い。シイ類の根に寄生するヤッコソウも、この森は北限地域のひとつ(写真:林野庁九州森林管理局)
テーマ:生息環境保全森林保全
フィールド:森林
宮崎県日南市にある岩壺山の南西に、猪八重というイチイガシなどが中心となった照葉樹林が、見事にまとまって残る国有林があります。このような植物群落は既にここだけになっていること、猪八重川上流の渓流を中心にした林内は多種多様なコケ類の生育地であることは専門家にはよく知られた場所でした。これほどの原生的な環境が今まで九州に残っていたこと自体が奇跡と思われる森です。
この森を生物群集保護林に設定できるかどうか、どこまでの範囲を設定するべきか、NACS-Jも委員として参加する、九州森林管理局保護林管理委員会で話し合っています。一番の問題は、猪八重川のかなり上流部までが既にレクリエーションの森制度の「猪八重風景林」となって沢登りに利用されていて、その場所と絶滅の危機にある希少種の特に豊富な生育地が重なってしまっていることです。自然の広がりと守るべき範囲をまず明確にした上で、レクリエーションの森とのすみわけを考え直さなくてはなりません。奇跡の森を丸ごと守りたいと思います。
参事 横山隆一
これだけの原生的な環境であるにもかかわらず、全国的には知られていないことが大変残念です。