2018.05.01(2020.04.17 更新)
【配布資料】今日からはじめる自然観察「おめめパッチリハエトリグモ」
観察ノウハウ
専門度:
テーマ:環境教育
<会報『自然保護』No.563より転載>
このページは、筆者に、教育用のコピー配布をご了解いただいております(商用利用不可)。
ダウンロードして、自然観察会などでご活用ください。
【訂正】会報『自然保護』5・6月号(No.563)の35ページに掲載した「今日からはじめる自然観察」コーナーのクイズの答えに誤りがありました。お詫びして訂正いたします。会報には正誤表を同封しています。なお、ウェブサイトでは正しい答えを掲載してあります。
p35 ●19ページのクイズの答え:(誤)A→(正)B
家の中にもいる、とても身近なハエトリグモ。網は張らず、ぴょんと跳ねて虫を食べ、人間に悪さはしません。
日本で確認されているハエトリグモはなんと100種以上!
今回は、大きな目を持ち、視力が優れたハエトリグモを観察してみましょう。
須黒 達巳(慶應義塾幼稚舎教諭)
網を張るクモよりずっと目がいい
一般的に、クモは体から糸を出して「クモの巣」をつくります。これは餌にする虫を捕まえるための罠の役割をするものなので、正しくは「巣」ではなく「網」と呼びます。網をつくらずに素手で獲物を捕らえるクモもいますが、全体に共通するのは、ほとんどのクモは目がよく見えていないということです。
クモは振動や触覚、匂いを頼りに周りのことを認識しています。そんな中にあって、ハエトリグモは大きな目とずば抜けて優れた視力を手に入れたクモです。この目のおかげで、網に頼ることなく、虫を「見て」認識して飛びついて捕まえることができます。動きだけでなく、形や色、距離も認識できると考えられています。
顔つきやしぐさも魅力的ですが、姿形の多様さもアピールポイントです。仲間の認識でも視覚に頼っているためか、種類によって色や模様、形が非常にさまざまです。また、ちょっとした公園でも意外とたくさんの種類を見られます。
東京の恵比寿の街中にある私の職場の敷地でも、これまでに17種を確認しています。身近な環境でもいろいろな種類に出合えると、観察のモチベーションが上がりますね。
ハエトリグモは春から初夏にかけて成熟する種類が多く、この辺りが観察の黄金期です。私たちが快適に感じる気候と一致するのもありがたいです。
最後に、クモと言うと毒が心配という方もおられると思いますが、ハエトリグモは基本的に人を咬みません (よほど大きな個体を指でつまみ上げたりすれば咬むかもしれませんが、私は経験がありません)。毒は、虫を殺すためのものを持っていますが、人には効きません。
クイズの答え:B
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