2018.04.19(2018.04.19 更新)
世界遺産登録を控えた西表島で22年ぶりに自然観察指導員講習会を開催!
解説
専門度:
テーマ:人材育成
フィールド:西表島
世界遺産登録を控えた西表島の課題
日本の西端に位置する西表島は、希少な固有種が数多く生息する生物多様性の保全上たいへん重要な場所です。
この初夏に、西表島は奄美大島ややんばるなどと共に世界遺産に登録される可能性があります。世界遺産登録によって観光客が急増することが予想されていますが、西表島ではこれまで地元説明が十分なされてこなかったため受け入れ態勢が全くできておらず、自然環境や伝統的な集落の営みに悪影響が生じることが心配されています。
また、近年ガイド業者の数が増加しており、自然環境への配慮を欠いたガイドツアーが増えていることも問題となっています。
現在沖縄県と竹富町が主体となって、主要な観光地の利用ルール作りとガイド認定制度の確立にむけての検討が進んでいますが、十分なスピードではありません。また、集落周辺については検討の対象に含まれていないことも課題です。伝統的なたたずまいの残る島の各集落周辺には、湿地や干潟といった観光利用による踏みつけに脆弱な場所が点在しています。
▲ 集落の様子。人の暮らしが息づいています。
西表島の保全を目指して自然観察指導員の養成を進めます
これまでNACS-Jでは西表島の自然保護に様々な形で関わってきました。
1990年代には、日本におけるエコツーリズムの理想的なモデル事例を作ることを目指し、地元のガイド業先駆者の方々とともに自然観察指導員講習会を開催しました。その後も、保護林の拡張の検討や、地域住民を主体とした希少種モニタリング調査の体制づくりに取り組んできました。
そしてNACS-Jはこの4月に、世界遺産登録を控えて様々な課題が残されている状況に対応するために、22年ぶりとなる自然観察指導員講習会を開催することとしました。またあわせて、世界遺産の制度や他地域の優良事例を伝えるための公開セミナーを開催します。これにより、島内のガイド業全体に改めて自然保護やエコツーリズムの理念を根付かせるとともに、地域の自然の価値・魅力や生態系のしくみを伝えながら自然保護問題が生じた際にきちんと声を上げ力を合わせられるようなコミュニティーを作ることを目指します。
自然保護の担い手づくりを通じて西表島の保全を目指すNACS-Jのとりくみに、引き続きご注目ください!