2018.03.22(2018.03.22 更新)
低密度下でのニホンジカ捕獲試験を実施
報告
専門度:
テーマ:獣害問題
フィールド:森林
ニホンジカ(以下、シカ)の増加による環境への影響が日本各地で問題となっています。群馬県みなかみ町の赤谷の森では、被害が少ない低密度の段階でシカの管理・捕獲技術を検討するため、昨年11月7日~10日に捕獲試験を実施しました。
今回捕獲に用いた方法は「シャープシューティング」と言われ、高い技能を持った射手が一度に「全頭」狙撃可能な場合にのみ使う手法で、逃げ出したシカが狙撃に対して高い警戒心を持つことのないように配慮した手法です。この方法を用い、鉱塩(塩のかたまり)を舐めに来たシカを狙って実施しました。試験は4日間実施しましたが、捕獲実施中にシカに遭遇できず、捕獲には至りませんでした。
一方、鉱塩と共に設置したセンサーカメラからは、赤谷の森では、日没後と夜明け前にシカが多く出現すること(図)、8月よりも9月初頭や10月末に強く誘引されており、時期による大きな変動があることが分かりました。また、捕獲の実施準備段階における手続きや話し合いの過程で、地域や関係者の方々に、シカ問題の課題や取り組みへの理解が広がったこともひとつの大きな成果と考えています。
今回の試験からは、低密度であるがゆえの出現数の少なさ、出現が夜間に偏っていること(法律上、夜間の発砲は原則禁止)の2つが大きな課題であることが分かりました。
今後は、より効率的な誘引方法の検討や夜間も捕獲できる方法を検討していきます。現在、積雪期の牧草による誘引試験を始めており、2018年度は、夜間も動作の可能な罠の試験などを実施していく予定です。今回の試験は、皆様のご協力で実施できました。引き続き低密度管理の実現に向けて取り組んでいきますので、応援よろしくお願いします!
担当者から一言
エコシステムマネジメント室 松井 宏宇
シカを待ち伏せしているとやぶからガサガサッと音が。ついに来たか! と思ったら、あれ? 小さい。キツネでした……。
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