2018.03.01(2020.04.17 更新)
【配布資料】今日からはじめる自然観察「手で! 顔で! 足で! さわって自然を感じよう」
観察ノウハウ
専門度:
テーマ:環境教育
<会報『自然保護』No.562より転載>
このページは、筆者に、教育用のコピー配布をご了解いただいております(商用利用不可)。ダウンロードして、自然観察会などでご活用ください。
自然を観察するときには、五感を使って観ることによって、より詳しく、より細かく、生きものたちの姿を感じることができます。
今回は、その中でも「さわる」に着目した観察の面白さを紹介します。
佐野 由輝(自然観察指導員講習会講師・千葉県自然観察指導員協議会)
自然との距離が近くなる!
「さわる」ことによって、何を感じることができるでしょうか。例えば、目で見るだけでは気づかない微妙な凸凹や、温かさ・冷たさ、厚み、かたさ・やわらかさ、湿り気、抵抗感、鋭さですね。同じ対象物であっても、指先、手のひら、足の裏、ほおなど、体のどの部分でさわるかによっても感じ方が変わってきます。
以前の自然観察会では、指先でつついただけでは分からないアカシデとイヌシデの冬芽の先の鋭さの違いを、ほおに当てたときの痛さの違いで区別した子どもがいました。さらに、さわることで似たもの同士の違いにも気づくことができます。葉っぱの表と裏、新しい葉っぱと古い葉っぱ、森の中と外で感じる空気、沢の水と田んぼの水などの感触を比べ、その違いの理由を考えましょう。
次に、さわった感触をどのように表現すれば良いでしょうか。「ちくちく」「ざらざら」など、辞書に載っているような表現を使えば、ほかの人とも共有できるかもしれません。でも、せっかくですから、オリジナルな言葉で表現してみましょう。以前、ある草をさわった子どもが、その独特な感触を「キクキクした草」と表現していました。皆さんもさわりたくなりますよね。
もし、ゲーム要素を取り入れるならば、服、ズボン、靴、バッグなど身に付けている物の感触に似たものを、自然の中から探すと面白いですよ。ある草の茎の感触がお気に入りの服のボタンの感触とそっくりだったら、その草をより身近に感じることができます。
「さわる」という行為の最大の効果は、自然との距離が近づくことです。遠くから眺めるだけでは分からなかった自然の姿に気づき、親近感が高まることで、小さな変化にも敏感になります。自然保護の第一歩は小さな変化を見過ごさないことですから。
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クイズの答え:①ムクノキ