2017.10.16(2017.10.16 更新)
世界遺産と米軍基地の学習会に参加して、ヘリの墜落現場を見に行ってきました。
報告
専門度:
テーマ:世界遺産
フィールド:沖縄
保護室の安部です。ヘリの墜落事故が起きたこともあり、沖縄にきています。
日本自然保護協会はやんばるの森を世界自然遺産に登録してきちんと守っていくべきだと考えていますし、これまでも働きかけを行ってきました。そして今、IUCNの専門家が現地調査で来日しています。
こうした中、ヘリが墜落した東村で学習会「やんばるの森 世界自然遺産登録にむけて隣接する米軍基地問題」が開催されました。あわせて墜落現場も視察してきましたので、皆さんにもお知らせいたします。
★学習会「やんばるの森 世界自然遺産登録にむけて隣接する米軍基地問題」に参加しました
東村農民研修施設にて学習会がありました。
桜井先生(沖縄環境ネットワーク)に続き吉川秀樹さんが「やんばるの森と人々の暮らしを守るために。世界自然遺産はその鍵となりうるのか」と題したお話しは以下のようなポイントでした。
- 世界自然遺産登録の条件は「顕著な普遍的価値(自然美、地形地質、生態系)」「完全性」「保護管理」の3つである、
- 今回のヘリ墜落事故は北部訓練場と世界自然遺産の両立が困難であることを示している。
- 事故現場は国立公園内であるにも関わらず、環境省は入ることもできない、つまり管理ができないということである。
- 条件を満たしていないということになる。
- 環境省が作成した推薦書には北部訓練場のことがほとんど書かれていない
- 環境省は管轄権がないから記載しなかったという(2017.4)
- 米軍や米政府を利害関係者として関わらせていない
- 日本政府、沖縄県、北部3村がこれらを認めてきた。それを許してきたのは市民.。
- 米軍作成のマスタープランのことが環境省作成の推薦書には記載されていない。
- 米軍のマスタープランには北部訓練場の一部返還によりこれまでの同程度の訓練がより狭い地域で行われる、と記されている
- 世界自然遺産に推薦されたという事実をもって今後の運動を展開すること
*今後できることについて:
- IUCN世界遺産プログラムへの働きかけ。やんばるの森の世界自然遺産登録を求める書簡 をそれぞれが送る。
- 環境省に北部訓練場の問題についてきちんと対応させる。
- 米軍/米政府に対して、やんばるの森の世界自然遺産登録に協力させる(ヘリパッドの使用中止、訓練の見直しなど)。
- 世界中とつながっている。がんばりましょう。
*パネルディスカッションも盛り上がりました。
- アメリカのUNESCO脱退に伴うジュゴン訴訟への影響について → 脱退が有効になるのはまだ先の話。オブザーバーとして残ると思う。それに法律を守らないでよいということにはならないだろう、と米弁護士から聞いている(吉川)
- 日本政府は(世界遺産の審査に落ちて)もともとと思っているのではないか? → このままでの登録は無理だと思う。でも最近は政府のごり押しも目立つ(桜井)
- 政府の思惑はどうあれ、私たち市民がどうしたいか、それを出していくべき(吉川)
- 日本政府に米軍に物を言うようにさせる。JEGSを守らせることが大切(桜井)
最後に石原理絵さんから明日のスタンディングへのお誘いがありました。
★高江ヘリ墜落現場を見てきました(10/15)
陸と海がつながるとても美しい場所が事故現場でした。
このような独特の自然の特徴やヤンバルクイナなどの希少な生物が棲んでいるということが世界自然遺産に推薦される条件としてあげられたのではないでしょうか。
なぜかここは世界自然遺産の推薦区域の外に位置して、このような事故が起こっています。
墜落したヘリには放射線物質が積まれていたとのこと。牧草地の持ち主は事故の翌日、豚と牧草を出荷する予定でした。それが事故のため出荷が不可能になったばかりか、新たに動物を飼育することもできません。お金で償えるものではありません。
多くのメディアに伝えて欲しいと(牧草地の持ち主は)ご自宅の屋上を開放しています。また市民も見られるよう広い駐車場も準備してくださっています。
世界自然遺産登録のための視察に来ているIUCNの人たちにもぜひこの現場を見ていただきたいです。