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2017.08.31(2020.04.27 更新)

【配布資料】今日からはじめる自然観察「にょきっ! キノコはどこに生えている?」

観察ノウハウ

専門度:専門度2

テーマ:環境教育

【今日からはじめる自然観察】にょきっ! キノコはどこに生えている?(PDF/944KB)
<会報『自然保護』No.535(2013年9・10月号)より転載>
このページは、筆者に、教育用のコピー配布をご了解いただいております(商用利用不可)。ダウンロードして、自然観察会などでご活用ください。

秋はキノコの季節。公園や身近なところでもキノコ観察はできます。

今回はキノコが生える環境に注目。

キノコと向き合い仲良しになれば、やがて森のしくみを深く知ることにもなりますよ。

吹春 俊光(千葉県立中央博物館学芸員)


森に欠かせないキノコ

キノコはカビと同じく菌類の仲間です。そのうち胞子をつくる器官が目に見えるサイズのものを総称してキノコと呼びます。キノコの役割を考えながら、キノコがどんなところに生えているのか観察してみましょう!

腐生菌と呼ばれるキノコは植物を土に還すのが役割です。切り株や倒木などを見つけたら、その周囲を回って探してみましょう。日がよく当たる場所の木材には高温にさらされても大丈夫なキノコ(ヒイロタケなど)が見られます。森の中や木陰になっている場所では、湿ったところが好きなキノコ(ナラタケ類やヒトヨタケ類など)が生えています。

森の中の落ち葉を分解するのもキノコの役割。キノコが出ていなくても落ち葉をめくってみましょう。菌糸のマットや菌糸が束になった菌糸束が見られるかもしれません。菌糸のマットでは下へいくほど分解が進み、落ち葉の形が次第に失われ、土に還っていくのを見ることができます。

もうひとつのキノコの役割は、樹木と共生して森を育てること。この役割をするキノコを菌根菌と呼びます。主にブナ科やマツ科、カバノキ科の樹木は根の部分に外生菌根というものをキノコとつくり、互いに栄養をやりとりしています。樹木はキノコに光合成でつくった有機物の何割かを提供し、キノコは窒素やリンなど無機塩類を樹木に供給します。これらの樹木の周りを探すのが菌根菌を見つけるコツ。家の近所のマツやコナラの植え込みにも菌根菌は見られるので探してみてください。ほかにも昆虫やほかのキノコに生える寄生菌と呼ぶキノコもあります。

長い年月を経た古い森ほど、多様なキノコが見られます。森はキノコなしでは生きていけません。太古から続く森とキノコの関係に思いをはせてみませんか。

 
▼画像をクリックすると大きくなります
弱った木:樹木が部分的に弱ってくると、そこを分解するキノコが入ってくる。すべては樹木が土に還る準備。倒木:植物が光合成でつくった有機物は...

地面:地面から生えるキノコには樹木と根を通じて共生している菌根菌や、埋もれた木片などを栄養としている腐生菌...落ち葉:降り積もる落ち葉を菌糸で綴じ、分解して土に還す。

クイズ:このキノコ(ナガエノスギタケ)の下には何があるでしょう?


クイズの答え:
ナガエノスギタケはモグラの便所跡にある樹木の根と菌根をつくって共生するとともに、モグラの便所跡を浄化する働きをしている。

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