日本自然保護協会は、生物多様性を守る自然保護NGOです。

  • 文字サイズ

自然の守り手を増やす

Home 主な活動 自然の守り手を増やす 記事一覧 【配布資料】今日からはじめる自然観察「いいにおいのカメムシがいる!?」

自然の守り手を増やす 一覧へ戻る

2017.05.17(2020.04.17 更新)

【配布資料】今日からはじめる自然観察「いいにおいのカメムシがいる!?」

読み物

専門度:専門度1

テーマ:環境教育

フィールド:里やま

【今日からはじめる自然観察】いいにおいのカメムシがいる!?(PDF/2.07MB)
<会報『自然保護』No.557(2017年5・6月号)より転載>
このページは、筆者に、教育用のコピー配布をご了解いただいております(商用利用不可)。ダウンロードして、自然観察会などでご活用ください。

 
カメムシは作物を食いあらす農業害虫として、また悪臭を放つ不快害虫として、人々に嫌われがちです。

しかし、むやみやたらと嫌う前に知ってほしい、カメムシとそのにおいの秘密を紹介します。

長島 聖大(伊丹市昆虫館学芸員)


すごく臭いのは一部だけ!

カメムシとは、カメムシ目の昆虫のうち、セミやヨコバイ、アブラムシなどを除いた“カメムシ亜目”と呼ばれる分類群の総称です。カメムシの見た目の特徴としては、①口吻と呼ばれるストロー状の口を持つこと、②前翅が水平に重なる構造をしていて、革質部(かたい部分)と膜質部(やわらかい部分)に分かれることなどが挙げられます。

カメムシの部位名称(画像解説)

カメムシの仲間は日本では1300種以上も知られていて、サシガメ科のように専ら肉食のもの、キンカメムシ科のように美しくきらびやかな姿のものもいます。また、タガメやミズカマキリ、アメンボのように水域に生息するものも含まれます。

屋内に侵入し、臭いにおいを出す不快害虫とされているものは、実はそのうちのごく一部の種に限られます。大多数の種は体長5㎜以下で、においを出さないか出したとしても人間の嗅覚ではそれを感じることさえできないような小さな昆虫です。

 

なぜにおいを出すの?

カメムシは身の危険を感じると、脚の付け根(幼虫の間は背中)からにおいを出します。においの主成分はアルデヒドと総称される刺激性のある物質で、そのほか複数の化学物質が混合されています。

一度カメムシのにおいを嗅いだ外敵はその後、同じ種類のカメムシを襲わなくなると言われています。しかし、私はカメムシをついばむ鳥や、カメムシの表皮が見られる獣の糞を観察したことがあるので、その臭気に構わずカメムシを捕食するものも存在するようです。

カメムシのにおいは同じ種同士が情報を伝達し合うためのフェロモンとしての役割も果たします。繁殖や越冬などのために集まったり(集合フェロモン)、外敵に襲われて強いにおいを出したときには周りのカメムシがそれに反応して逃げたりする(警報フェロモン)ための信号としても使われます。

おならじゃないよ!カメムシは、肛門からではなく、脚の付け根(幼虫の間は背中)にある臭腺というところからにおいを出します。

あえてにおいを嗅いでみる!カメムシは種類によってにおいが違います。たくさんのカメムシのにおいを嗅ぎ続けると....クイズ(画像)


クイズの答え:Dがアカスジキンカメムシの幼虫
(Aミナミアオカメムシの幼虫、Bナナホシキンカメムシの幼虫、Cキマダラカメムシの幼虫)
 

エプソンロゴマーク

本コーナーは、エプソン純正カートリッジ引取回収サービスを利用されたお客様のポイント寄付によるご支援をいただいております。

この記事のタグ

自然の守り手を増やす 一覧へ戻る

あなたの支援が必要です!

×

NACS-J(ナックスジェイ・日本自然保護協会)は、寄付に基づく支援により活動している団体です。

継続寄付

寄付をする
(今回のみ支援)

月々1000円のご支援で、自然保護に関する普及啓発を広げることができます。

寄付する