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2017.04.07(2017.04.07 更新)

種の保存法って知ってますか?

解説

専門度:専門度5

正式な名称は、「絶滅の恐れのある野生動植物の種の保存に関する法律」といいます。1993年に施行されました。その名の通り、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図ることにより良好な自然環境を保全し、もって現在および将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的」とした法律です。希少野生動植物種に指定されると、保護増殖計画をたて、必要に応じて生息地等保護区の設定ができます。また、指定種の捕獲や所持・流通(生きた個体のほか、全体の剥製、標本、器官およびその加工品を含む)等の規制がかかります。

 

では、これで絶滅危惧種が保全されたのでしょうか?

答えは否です。この法律が施行されてから20年の間で、国内指定種は89種、生息地等保護区は9か所しかありません。環境省のレッドリスト(絶滅の恐れのある種のリスト)では3500種以上がリストアップされていることと比べて法律によって保護されている割合は微々たるものです。
そこで2014年の改正時に環境省は2017年までに300種指定という目標を掲げました。そして今年、2017年にもう一度、種の保存法の改正が国会に上程されました。私たち日本自然保護協会をはじめ、世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)、日本野鳥の会などの自然保護NGOは、遅々として進まない絶滅危惧種保全に危機感をもち、抜本的な法律の改正が必要であると訴えてきました。こうした声を、今回の法改正では反映された部分もあるのですが、残念ながら不十分と言わざるをえませんでした。そこで、共同で意見書を環境大臣に提出することにしました。

 

詳細は、意見書をご覧いただきたいと思いますが、法の指定種のみならず、保護増殖計画や保護区の設定などについても、国民からの提案制度を法に位置付け、常設の科学委員会できちんと議論していくことが重要だと考えています。
日本自然保護協会はこれまでもジュゴンを指定種にすべきと科学的根拠をもって提案してきましたが、その可否や可否の判断に至った科学的な判断などは公開されていません。もっとひろく国民の国民による監視の目が必要で、そのことにより、人間の都合より生き物の目線に立った対策が可能になると考えています。国際取引に関しては、登録制度を過去にさかのぼって適応させることが必要です。今、わかっているものすべてが登録されれば、それ以外は違法なものと判断がしやすくなります。

今、人間の諸活動のせいで大量絶滅期に入ったと考えられている現状から一刻も早く脱却するためにも、種の保存法が、その絶滅の危機から脱する実効性のあるものにするための、抜本的な改正が必要なのです。

人間が生物多様性にとって最大の危機なのですから、人間自身がその解決のためにできることを最大限努力しなければいけないのではないでしょうか。

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