2017.04.07(2020.04.27 更新)
【配布資料】今日からはじめる自然観察「おいしいタケノコ観察」
読み物
専門度:
テーマ:環境教育
<会報『自然保護』No.556(2017年3・4月号)より転載>
このページは、筆者に、教育用のコピー配布をご了解いただいております(商用利用不可)。ダウンロードして、自然観察会などでご活用ください。
あなたのイメージするタケノコはどんなタケノコでしょうか?
スーパーで売られているものの多くはモウソウチクという種類ですが、おいしいタケノコはほかにもあります。
生える時期も味も皮の手触りも違うのです!
茨城県石岡市立石岡小学校教員 亀山 浩二
(元ミュージアムパーク茨城県自然博物館主任学芸主事)
タケは草なのか木なのか?
タケの仲間(ササも含む)は「イネ科」に属します。多くのタケは、節で仕切られた、冬でも枯れない「稈(かん)」と呼ばれる硬い茎を持ち、内部が空洞になっています。そして、タケノコから成長する1年目で太さが決まり、その後は太くならず、年輪もできません。草や木と共通する性質よりも共通しない特異な性質を持つため、この仲間は、草でもない木でもない「タケ」という植物で、タケ科という独立したグループとする考え方もあるくらいです。
なぜ驚異的なスピードで成長できるのか?
タケの繁殖の過程で地上に発生するタケノコ。そこには不思議がいっぱい詰まっています。
まず、タケの節となる部分はタケノコの時からその数が決まっています。タケノコを縦に切った断面を見てみると、節で仕切られた部屋はまるでタケノコの中の高層ビルのようです。ひとつの節には必ず1枚の皮が付いていて、節の数だけ皮が付いていることになります。
先端と各節の上部には成長点があり、そこで同時に細胞分裂が起きるため、節と節の間が同時に成長します。そのため順調に伸びるタケノコの成長スピードは驚異的で、たった1日で1m以上も伸びる場合もあるのです。
また、もうひとつ驚異的な成長を支えているのが土中の水です。例えば、モウソウチクは、1本のタケノコが成長するために1日に約20ℓの水が必要とも言われています。
さて、不思議いっぱいのタケノコはアジア各国で食され、日本では、昔から春を告げる食材として親しまれてきましたが、シホウチクなど、種類によって夏から秋にかけて発生するものもあります。また、タケノコの皮には殺菌効果が認められ、昔からおにぎりやちまき、梅干しなどの食品を包むなど有効利用されていました。
タケノコを食用とするのは人間だけではないようです。近年、地域によっては、タケノコ採りの最中に、タケノコを食べているクマやイノシシとバッタリ!などという報告もあります。動物との遭遇に注意するとともに、マナーに十分留意して、採取や観察を楽しみ、さまざまなタケノコをぜひ味わってみてはいかがですか。
クイズの答え:b
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