2018.01.01(2017.12.25 更新)
尾瀬・至仏山の新歩行路の耐雪実験開始
報告
専門度:
これまでのような木杭を使わず、スクリュー状の杭を支えにしてワイヤーで吊るすことで地面のかく乱の回避を図る新歩行路試作品。
テーマ:生息環境保全
蛇紋岩という特殊な地質のために個性的な高山植生で覆われ、花の山、百名山のひとつとして年間2~3万人の人が訪れる尾瀬の至仏山(標高2228m)。
日本自然保護協会は至仏山保全対策委員会委員として至仏山の保全にかかわっています。1997年から、それまでの木道設置では高山植生を守れないと、新たな保全方法を探ってきました。毎年の膨大な量の積雪と雪解け水の力に木道が負け、それに抗うことが周囲の自然を壊すことにつながるという、負のスパイラルに陥っていた場所です。
その中で、MTS雪氷研究所代表の松田益義さんとスタッフの清水孝彰さんによって、雪圧に抗うのではなく回避する新歩行路の試作品がつくられ、実験セットの設置が11月2日に鳩待峠で行われました。アイデアはあったものの資金がなく、3年にわたって停滞していた耐雪実験です。今回は、日本のアウトドア関係企業でつくられているコンサベーション・アライアンス・ジャパンの資金助成が得られ実現しました。雪圧などの計測データの収集は雪解け後に予定しています。
担当者から一言
参事 横山隆一
木道の維持が自然を消耗させているというおかしな状態を、発想の転換で解決させたいと思います。